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ふもと旅館とは

What

ふもと旅館とは

ふもと旅館の魅力を徹底分析!
スタッフでも宿泊者でもない第三者の目から見る「ふもと旅館」です。

01.プロローグ

Prologue

プロローグ

「黒川温泉」・・・開湯は江戸時代中期というが、1980年代半ばまでは、まさに忘れられていた温泉地だった。
九重連山や阿蘇外輪山の裾野に位置し、四方山に囲まれた、よくある湯治場的なところであった。
クルマで1時間半ほどの距離にある由布院温泉が、別府温泉とは違う方向性でコンセプト作りを行い、憧れの温泉地と変貌を遂げたのを、羨ましげに眺めていた時代もあった。

ところが、昭和61年(1986)に、温泉組合が発売した、黒川温泉の旅館の露天風呂が3ヶ所湯めぐりできるという「入湯手形」が誕生してから、劇的に評価を上げ、今や全国区の人気温泉地にまでになったのは皆さんご承知の通り。
その仕掛け人は、当時、32歳で「ふもと旅館」の社長になったばかりの松﨑郁洋(いくひろ)氏。
登別温泉の地獄、草津温泉の湯畑、由布院の由布岳・・・人気温泉地には何か象徴的なものがあるが、黒川温泉には何もなかった。
多くの人が目を向けてくれるには、もう企画力しかなかったのだ。
そこで、外湯めぐりで賑わっている長野県の温泉地をヒントに、各宿の露天風呂めぐりをすれば・・・と考えたわけだ。
その重要な企画にアシストしたのが、奥さんであり女将の松﨑久美子さん。
大学生時代に全国の温泉地をめぐっていた中で、“手形”というシステムを思いついたらしい。

黒川温泉は、狭い土地に、寄り添って宿が建ち並んでいる環境。
それが災いどころか、逆に功を奏して、クルマを使わないでも、歩いて各宿に訪ねられるのだ。
これが、浴衣を着たお客が、下駄をはいて練り歩く姿が、いっそう温泉情緒を増す結果ともなった。

02.独自性

Originality

独自性

黒川温泉は、宿の壁も黄土色に塗られ、ガードレールは黒色になっている。
看板も、木製の案内板だけ認められ、言わば統一感を演出している。
街中に、雑木が植えられ、都会では見られない風景、田舎の原風景を見る事ができる。
これら景観の大切さを説き、事業を推し進めたのは、松﨑郁洋社長(昭和28年生まれ)の父親の世代に当たる「新明館」後藤哲也氏(昭和6年生まれ)。
後藤氏の植樹の技と、露天風呂造りは、若手経営者の手本となった。

後藤哲也氏を見習い、弟子入りする人も多く、結果、黒川温泉だけでなく、周辺に「新明館」と同じような露天風呂が数多くできてしまった。
自然に溶け込むような雑木と、大きな露天風呂の組み合わせは、近隣ではよく見られるようになった。

ところが、「ふもと旅館」は、別の方向性を模索した。
それは、「貸切風呂」。
もともと、熊本県は家族風呂と言って、地元の人たちは、貸切風呂が当たり前のように利用されていた。
その貸切のお風呂を、露天風呂にしたり、立ち湯にしたり・・・。
現在では、なんと9種類の貸切風呂を揃えるまでになった。

そして、豊富な自家源泉を利用しての湯舟の数の多さも特筆すべき。
男女別のお風呂も3種類。
貸切風呂を入れると、トータルで13の湯舟!
客室数たった14部屋の旅館で、この数は凄い!
しかも源泉かけ流し。
ひとつの宿で、湯めぐりできるのも、「ふもと旅館」ならでは。

必要以上に大きな露天風呂は、見た目はいいが、それだけ莫大な湯量を消費することを意味する。
ある宿によっては、湯量が少なくなってきたので、加水しているところもあるらしい。
その点、「ふもと旅館」は「源泉100%」にこだわっている。
温泉に関しては「量」より「質」に比重を置いている、良心的な宿なのだ。
このように、温泉だけでも、黒川温泉の一員でありながら、それに甘えず、個性を主張しているのが分かるのだ。

03.女将の感性

Sensitivity

女将の感性

温泉旅館の女将といえば、皆さんはどのようなイメージをお持ちだろうか?
夫である社長を助ける内助の功的な存在。
あるいは、フロントランナーとして、接客サービスの前面に立つ女将。
いろいろなタイプの女将さんがいるだろうが、ここ「ふもと旅館」の女将・松﨑久美子さんは、黒川温泉の女将さんの中でも博学で通っていて、弁も立つ。

そしてなんといっても、企画力が凄い。
「入湯手形」の他にも、いくつかのアイディアを出しては、黒川温泉の広報活動に大いに貢献してきた。
源泉を使った化粧水として人気の「黒川温泉みすと」も、彼女のアイディアなのだ。

そんな女将さんの感性が、洋菓子店でも見ることができる
。 ひと昔前の田舎の温泉街には、まんじゅう屋さんはあっても、ケーキ屋さんは無かった。
そこで、彼女が誕生させたのは、宿の真向かいにある、“いご坂”角の洋菓子屋、「パティスリー麓(ろく)」。
店の外にまで、甘い香りが漂う。
ここには“ジャージー牛乳”や、卵“蘇陽の月”など、阿蘇の外輪山周辺で採れた素材のみを用いて作られた、洋菓子の数々が並ぶ。
その味にやはり女将さんが惚れ込み、阿蘇内牧にあるお店の支店として開店させた。
店内には椅子が数脚置かれており、買ったその場でいただくこともできる。
お土産として人気があるのはロールケーキ。
プレーン味、カカオ味、抹茶味、きなこ味・・・と各種楽しめる。
その他にも箱詰めの半熟チーズケーキも取り分けができると好評。

温泉街の中心にある恵まれた立地もあるだろうが、店先にお客が並ぶのは、日常の出来事。
そこには、笑顔の浴衣姿の女性たちがたくさん見かける事ができる。
こんなところからも、黒川温泉の活気というか、楽しさが伝わってくる。

由布院のメインストリートで見かける大手外部資本のお店ではなく、温泉街に違和感無くケーキ屋さんが溶け込んでいるのでは、やはり地元のお店ならではなのか?
とにかく、彼女のプロデュース力は、黒川温泉の魅力のひとつになっているのは確かだ。

04.おもてなし

Omotenashi

おもてなし

黒川温泉は、1985年までは、辛酸を充分になめてきた。
これでもか、これでもか・・・と、ほとんどの宿が借金に苦労し、宿だけでは稼げないから、会社勤めもこなし、いわゆる「半農半商」の状態。

そんな時代を知っているから、今の黒川温泉は、繁栄期を迎えても、驕りはない。
特に、ここ「ふもと旅館」はそうだ。
先代の社長・和高さんは、昭和30年に経営不振の旅館を買収して「ふもと旅館」を創業した。
昭和36年には、組合を作り、当時の黒川温泉のリーダー的存在だった。
しかし、和高さんは、この人気絶頂の黒川温泉を見ずに、この世を去った(1985年)。

バトンタッチされた現社長の松﨑郁洋さんは、先代ができなかった数々の企画を考え、実行していった。
女将の久美子さんは、旅行好きだった経験から、お客目線の接客サービスを目指し、とにかく顧客満足度を上げる方法を模索してきた。

その二人の頑張りを見て子は育った。
2人の娘と、2人の息子は、全員、宿を手伝っている。
長女の祐子さんは、平成14年に開業した姉妹館「旅館こうの湯」の若女将として、頑張っている。
青年部にも所属していて、黒川温泉の未来像を、常に頭に描いており、根っから黒川温泉を愛しているのが分かる。

このように、家族が陣頭指揮をとり、それにスタッフがついて、非常にまとまった人員構成となっているのが、この宿の強さ。
出来る限り、お客に目を配り、出来る限りのサービスをしようと、情熱の塊のような従業員ばかりだ。

それが「ふもと旅館」の“おもてなし”のベースになっている。
洗練された接客ではないが、親しみを感じさせる温かさがそこにある。
だから、この宿のリピート率は高い。
気兼ねなく、ゆったりと寛げる当たり前の備えが、この宿には根付いているのだ。

文・ 温泉コム株式会社 代表取締役 大竹仁一

“貸切温泉どっとこむ”に掲載中です!
取材スタッフが実際に宿泊し、現地取材での情報を詳細にレポートしています。
初めて『ふもと旅館』にお泊りになるお客様の為の手助けになるのではないかと思います。
ぜひ、ご覧ください。

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